耳管開放症症例
当院の治療効果であり鍼灸一般のものではありません。また、効果には個人差があります。
症例3
患者
50代男性
来院
2020年1月
症状
20年前に左耳が耳管開放症になり病院で手術をした。
その後調子は良かったが、2ヶ月前から徐々に以前と同じような症状が出てきた。
特に起床後2時間位で症状が出現する。
自分の声が大きく聞こえる。呼吸音が聞こえるなどの症状があった。
施術と経過
●初回
耳の症状に関係する左の首と喉付近のポイントの緊張が強くかったため、改善する鍼施術をおこなった。
●2回目から10回目
施術するごとに症状は軽減していたが、施術の過程でご本人が人と話をしているときに症状が出やすいと言うことに、スポーツジムでトレーニングをしている際症状が出やすいことに気がつかれ、それを対処する施術を行った。
10回目には症状が10から1に改善し、症状が出る頻度も10から1になった。
●11回目
症状はほとんど改善し、症状が出たとしても回復が早い事から、ご本人と相談し今回で終了し様子を見ることとした。
同時に施術した症状
なし
考察
耳管開放症とは、耳管の機能不全であると考えられる。
この機能不全は耳の周辺首喉肩の緊張が影響することが多ので緊張を軽減する施術をおこなう事で改善できる。
症例2 妊娠中の耳管解放症になって自分の声が響く
患者
30代女性
来院
2017年9月
症状と来院理由
8月下旬に風邪をひいた為か黄色の鼻水が出た。
そのうちに左耳がこもる様になった為に、近くの耳鼻科に行き中耳炎と副鼻腔炎の診断を受けた。
翌日から耳鳴りが始まったが、それがおさまると自分の声が響く様になり聞こえも悪くなっている感じがした。
1週間後再び耳鼻科に行くと中耳炎は良くなっているが、声が響く症状や詰まった感覚は耳管解放症だと診断された。
その際、医師から「耳管解放症は妊婦に多い病気で出産すれば治る事が多いが、治らない事もある」と言われショックをうけた。
まだ、副鼻腔炎による鼻水は出ていた。
この時患者さんは妊娠4か月であった為、お腹の赤ちゃんの事を考えるとなるべく薬を飲まずに耳の症状を治したいといった思いがあり、また「治らなかったらどうしよう」という不安な気持ちも強くあったので、耳に関しての情報が豊富である当院のウエブサイトをご覧になり来院された。
施術内容と経過
初め、頻繁に鼻水がでるといった症状があった。
鼻は耳の症状と関係が強いので、その症状を改善するために鍼をした。
それと並行して、耳に関係する耳の周りや肩の筋肉の緊張が強かったのでそれを緩める鍼を行った。
2回目も同様の施術を行った。その後、自宅に帰った後耳の詰まり感は半分程度に軽減いていた。
3回目の翌日、妊娠中で通院している総合病院の耳鼻科にて症状を相談したところ鼓膜にテープをはってもらったが、あまり変化は感じられなかった。
5回目後には、自分の声が響いてしまう症状はなくなったが、食事をしたり動いていたりすると耳の詰まり感が出現するが安静にしていると症状はおさまる状態であった。
そこで左顎の周囲を触診すると耳の症状に関係する緊張があったので、これを緩める鍼を追加した。
6回目から施術間隔を2週間に1回の間隔にし同様の施術をおこなった。
8回目で耳の詰まり感が1日2回程度に減り食事の際の詰まり感は無くなった。
10回目で耳の詰まり感も感じなくなった為、左耳への施術は終了とした。
主に使用したツボ
項強、僕参、申脈、外谷
考察
耳管解放症という病名であったが、病名にとらわれず症状を改善する事を念頭に施術をおこなった。
症状をひとつずつ改善していく事ができたので良かったのではないかと感じる。
また、今回の患者さんのように妊娠中で薬を飲みたくないという患者さんの為にも鍼は大いに貢献できると思われる。
症例1 人との会話が響いて聞き取りにくい
患者
30代女性
来院
2017年8月
症状と来院理由
4日前、仕事のミスがあった為そのストレスで眠れなかった。
翌朝、左耳が「もわーん」とした違和感が出現。
そのまま仕事に出かけたが、仕事中に人との会話が響いてしまい聞き取りにくい感じがした。
心配になり耳鼻科に行き診察してもらった際、左耳の聴力が少し落ちているといわれ薬を処方してもらった。
翌日も症状はあまり変化なかった為心配になり、耳に関しての情報が豊富である当院のウェブサイトをご覧になり来院された。
*処方された薬:メチコバール、ストミン、アデホスコーワ
・左鼻に副鼻腔炎の鼻つまり
・左奥歯に歯肉炎の痛み
施術内容と経過
来院時には、左耳の「もわーん」感は一日の中で強弱があった。
耳の症状と関係している部分を触診すると、左ノド付近の筋肉と左肩に特有な緊張があった為、これを緩める鍼をおこなった。
また詳しい問診で、副鼻腔炎よるに鼻の詰まりと左奥歯に歯肉炎がある事がわかった為、それも左耳の症状に関係していると考え改善する鍼をおこなった。
2回目の際お話しをうかがうと、左耳の「もわーん」とした違和感はなく、人との会話が響いて聞き取りにくいといった症状も改善されていた。
ただ、副鼻腔炎による鼻詰まりが若干残っていたので改善する鍼をおこない、様子をみて頂く事として終了とした。
歯肉炎による痛みについては、鍼をおこない少し改善したが、歯医者で診察を受ける事をお勧めした。
主に使用したツボ
合谷、項強、腰海
考察
お仕事上、電話での会話が多い患者さんだった為、耳の違和感や響く感覚は仕事にも影響がでてしまっていたが、問診で鼻の症状や歯の症状をくわしく教えて頂けた事が早期に改善できた要因と思われる。
耳の症状は非常にデリケートであり、鍼で治療する場合刺激が強すぎるとかえって症状が強く出てしまう事が多々ある。
鍼の加減を考えながら治療をする必要がある。