膝の痛み症例
膝の痛み症例
当院の治療効果であり鍼灸一般のものではありません。また、効果には個人差があります。
症例1
患者
20代女性
来院
2016年11月
症状
フルマラソン中に、左膝外側付近に痛みがでた。そのまま痛みを我慢しながらなんとか完走したが、その後痛みは強く左足を引きずって歩く様な状態であった。1日たって痛みは少し軽くなり左足を引きずる事はなくなったが歩く際に痛みがあり特に階段昇降時の痛みが強い。
治療と経過
フルマラソンの翌日母親に勧められ来院された。症状はまだ強く動作時に左膝周辺に痛みがあったが、膝自体に腫れや熱感は無い。ベッドで背臥位(仰向け)にて膝を曲げ伸ばししても痛みが出ないと言う事は、フルマラソンで膝に障害が起きたとは考えにくい。ランナーで良く見られるものとしては腸脛靭帯炎と言うケガがあるので、グラスピングテスト(腸脛靭帯炎かどうかは判断するテスト)を行うと違和感が出る程度であった。腸脛靭帯に負担はかかっている事は間違いないが、これは結果であって原因ではと考え患側の足を触診し、次に患側の腰部を触診した所、腰部の緊張部分が強かったため腰が原因と考えて左足の外側に関係する腰のツボに刺鍼した。その後、治療前に症状があった歩行時の痛みを確認する為に院内を歩いて頂くと痛みは出なかった。階段の昇降時の痛みもあったので、脚の短いイスを上り下りして頂くとイスに上って膝が伸びきる際に痛みが残っていたが、充分な効果が確認できたので1回目の治療は終了した。5日後、2回目の治療では歩行時、階段昇降時の痛みは消失していたが仕事で30分程イスに座って立ち上がる際に左の膝外側付近に痛みが出ていた。イスから立ち上がる動作を再現して頂くと少し横から立ち上がる動作の際に痛みが出ている事から、身体の横軸に原因があるのではないかと考え足首のツボに刺鍼した。その他前回と同様の治療をして終了とした。その後、母親から話を聞く機会があったがイスから立ち上がる際に痛みは出ていないとの事であった。
使用したツボ
L1(1.5),L4(1),申脈
考察
患者さんが訴える症状と実際の原因は同じとは限らない。フルマラソンの際に痛みが出たので膝周囲を傷めたと考えがちであるが、実際では腰と身体の軸に原因があったと考える。練習中には痛みが無かった様であったがフルマラソン程の長い距離を練習中に走る事は無いらしく、実際に長い距離を走った際に疲労で走るフォームが乱れた為に、軸が狂いまた腰に負担がかかったと考えられる。患者さんに症状の現れる動作、楽な動作や姿勢を問診で確認し丁寧な触診で原因を突き止めて治療する必要があるとあらためて感じた。